四国障害者歯科医療推進協議会
Shikoku Promoting Conference for Disability and Oral Health

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徳島大学病院
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(徳島大学小児歯科医局)

第13回講演会

開催日 【対面開催日】令和6年10月6日(日)
対面開催場所 高松市歯科救急医療センター(4F大ホール)
参加人数 54人

Ⅰ.講演会について

講師 山根 一彦 先生
(一般社団法人認知症協会 代表理事)
演題 最新研究からわかった、口腔内環境がもたらす認知症への影響
講演の内容
認知症の基礎知識、認知症の予防法、歯科領域における認知症予防、認知症の方への対応の基本、について講演する。
  1. 認知症の基礎知識
    認知症とは、脳の持続的な障害により日常生活に支障をきたす状態を指す。主な症状には記憶障害、判断力の低下、言語能力の低下などがある。認知症の原因は多岐にわたり、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などが含まれる。特にアルツハイマー病は認知症の約70%を占め、脳内にアミロイドβが蓄積することで脳神経に障害を与える。
  2. 認知症の予防法
    認知症の予防には、リコード法を用いた生活習慣の改善が重要である。具体的には、バランスの取れた食事、定期的な運動、社会的な交流、知的活動の継続が推奨される。また、適切な睡眠とストレス管理も認知症予防に寄与する。特にアルツハイマー型認知症の予防には、アミロイドβの蓄積を防ぐことが重要であり、抗酸化物質を含む食品の摂取や、脳の血流を改善する生活習慣が効果的とされている。
  3. 歯科領域での認知症予防
    歯科領域でも認知症予防が注目されている。口腔内の健康状態が全身の健康に影響を与えることが知られており、特に歯周病が認知症のリスクを高める可能性が指摘されている。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアが、認知症予防に寄与する可能性がある。また、咀嚼や嚥下機能の維持も重要であり、これらの機能が低下すると栄養状態が悪化し、認知症のリスクが高まることが示唆されている。
  4. 認知症の方への対応の基本
    認知症の方への対応には、理解と共感が不可欠である。まず、認知症の症状や進行状況を理解し、ユマニチュードの考え方を取り入れた適切なコミュニケーション方法を学ぶことが重要である。例えば、ゆっくりと話す、簡潔な言葉を使う、視覚的な手がかりを提供するなどの工夫が有効である。また、認知症の方が安心して過ごせる環境を整えることも大切である。具体的には、日常生活のルーチンを維持し、混乱を避けるためのサポートを提供することが求められる。

Ⅱ.ポスター発表(4題)

P-1 Down症候群患者における歯周炎評価指標(PISA)と歯周病原菌叢の関連
P-2 重症心身障害者病棟入院中に転倒により生じた上顎中切歯陥入に対して整復固定術を行った1例
P-3 当院重症心身障害児(者)病棟における口腔内状態の実態 -細菌カウンタを用いて-
P-4 当院における障害者の全身麻酔下歯科治療の実態調査
配信

オンデマンド配信は終了しましたが、引き続き視聴することができます。

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第12回講演会

開催日 【対面開催日】令和5年9月17日(日)13時~14時30分
【オンデマンド配信期間】令和5年10月3日(火)~16日(月)
対面開催場所 高松市歯科救急医療センター(4F大ホール)
参加人数 対面参加(36名)、オンデマンド参加(36名)
講師 久保田 智彦 先生
(社会福祉法人若楠 療育医療センター 若楠療育園 歯科)
演題 障害者歯科における薬物を使用した行動調整
講演の内容
障害者歯科では、いろいろな患者の特性に合わせた行動への対応が要求されます。よく用いられる行動変容法では、患者とのコミュニケーションや信頼関係の構築が重要ですが、患者の障害の状況によって限界があります。特に、重度の知的障害やコミュニケーションの難しさがある場合、身体障害を伴う場合には行動変容法だけでは不十分なことがあります。また、時間を要する治療や緊急のケースでは行動変容法では十分な対応ができないことも考えられます。そのため、次のステップとして薬物を用いる精神鎮静法と全身麻酔法があります。精神鎮静法は、亜酸化窒素(笑気)ガスや鎮静剤を用いて患者の意識を失わせずに、不安を軽減し、治療を行う方法です。これにより、患者はリラックスした状態で治療を受けることができ、協力が得られやすくなります。全身麻酔法は、精神鎮静法でも治療が困難な場合、重度の障害、多数歯や長時間の治療が必要な場合などに適用されます。患者は完全に眠っている状態で治療を受けるため、コミュニケーションや協力の問題を回避できます。
以上のように、行動変容法の限界を克服するためには、患者の個別の状況や治療内容に応じて、鎮静法や全身麻酔法を選択肢に持つことは患者にとっても有益です。これらの方法を有効に活用すると治療の質を向上し、患者の口腔の健康を維持し、生活の質を向上させることが期待できます。今回、精神鎮静法と全身麻酔法について基本的なことをお話しさせていただきます。
配信

オンデマンド配信は終了しましたが、引き続き視聴することができます。

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第11回講演会

開催日 【対面開催日】令和4年9月25日(日)13時~14時30分
【オンデマンド配信期間】令和4年10月11日(火)~24日(月)
対面開催場所 高松市歯科救急医療センター(4F大ホール)
参加人数 対面参加(22名)、オンデマンド参加(57名)
講師 繪内 利啓 先生
(えないメンタルクリニック院長)
演題 発達障害の理解と対応
講演の内容
「発達障害の理解と対応」について、以下の項目を解説する。
  1. 我が国における発達障害臨床の特徴
  2. 発達障害支援関連法の動向
  3. 発達障害の定義、診断基準
  4. 発達障害と知的能力障害・自閉スペクトラム症との関係
  5. 自閉スペクトラム症とADHDとの関係
  6. 発達障害の頻度
  7. 自閉スペクトラム症の知能分布
  8. 自閉スペクトラム症に関わる遺伝子
  9. ADHD病態生理の仮説
  10. 発達障害の子どもの特性
  11. 発達障害者への支援
(内容の詳細は、配信動画で視聴ください)
配信

オンデマンド配信は終了しましたが、引き続き視聴することができます。

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第10回講演会

開催日令和3年11月20日(土)~令和3年11月30日(火)
開催場所オンデマンド配信
参加人数60名

Ⅰ.講演会について

講師有田 憲司 先生
演題名すべては障害のある人々とその家族の笑顔のために
~目指せ!低年齢から寄り添う障害者歯科医療を~
講演の内容
 健康な口腔をもつことは、すべての国民の権利であり、健康な口腔は障害のある人の能力を最大限に引き出し、QOLを向上させます。また、彼らの健康な口腔は、親や介護者の負担・ 疲労を軽減でき、安心や喜びを提供できす。したがって、歯科医師は、障害のある人を最優先に診るべきであると考えます。口腔を健康に保つには小児期に極力歯を削除しないことが重要かつ効果的であり、う蝕管理に対する考え方を新しい「生物学的アプローチ」へと変革し、早期発見による脱灰したエナメル質および象牙質の再石灰化を中心の治療にすれば、一般かかりつけ歯科医であっても多くの障害のある人へ安全で確実な歯科治療を実践できます。
 障害のある人の口腔内の健康は、口腔機能の発達障害に対しても寄り添うべきで、授乳や離乳食の時期から専門家の子育て支援を求めており、障害者歯科医療に関わる者は、摂食嚥下機能についても学習されることを期待します。また、予防や口腔機能支援は抑制法や全身麻酔法では行えないので、適切な対応法について研鑚を積んでほしいと考えます。
 医科で障害がみつかれば、すぐに歯科にも受診させるシステムを構築して長期間定期的口腔保健管理が可能となれば、障害のある人の多くが生涯の口腔健康の保持という恩恵を受けられると確信します。
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第9回講演会・ポスター発表

開催日平成31年3月3日(日)
開催場所徳島大学歯学部大講義室
参加人数65名

Ⅰ.講演会について

講師緒方 克也 先生
演題名センターと地域をつなぐ障害者の歯科医療
講演の内容
  1. センターの新しい機能について
    地域の障害者の歯科管理の把握どこにどんな障害者が存在していて、どこの歯科医院がかかりつけであるかを登録制で管理する。地域の産科、小児科、療育センター棟と連携し、早期の歯科受診を呼び掛け、紹介する。地域の歯科医師の相談先として、障害者歯科の専門医や指導医と連携する。地域の歯科医師と歯科衛生士が障害者歯科医療を経験するための機会を提供し支援する。
  2. 地域で見る障害者の歯科医療について
    地域で診る障害者の歯科医療は、健康づくりのための予防と長期継続管理を中心に乳児期、幼児期から行う。患者や保護者と信頼関係を築き、生活を支援することを念頭に置いて医療を提供する患者の人としての権利を中心に考え、患者の口腔が健康であることの権利を擁護し、支援する考えで管理プランを提示して実践する。無視せず、無理なく、無駄なくの考えで患者をうけいれ、必要に応じて2次医療機関と連携する。
  3. 地域の歯科医院での発達障害児の行動調整
    急がす、ゆっくりとした対応で信頼関係を作る。地域医療では疾病に対する高度な対応はできないが、障害のある患者に対して人としてのかかわりが可能である。抑制でなく、じっとしていることの支援という考えで行う。動いてから抑制するのでなく、抑制しないでいいための支援が必要である。つまり、患者さんの限界の中で処置をするのであり、患者さんに限界を超えた我慢を強いることはしない。我慢ができないことを抑制に変えることはしない。安心と納得の中で進めることが患者さんの自信とプライドにつながる。

Ⅱ.ポスター発表(6題)

P-1 口腔粘膜病変が初発症状であったクローン病の1症例
P-2 当センターにおける平成29年度のインシデント集計報告
P-3 難治性てんかんに対して迷走神経刺激療法を施行中の患者に発症した
下顎歯肉癌の1例
P-4 当県在宅歯科連携室における連携システムの稼働状況と評価
P-5 当センター障がい者歯科における歯科衛生士育成への取り組み(第1報)
P-6 当センター外来におけるダウン症児・者の全身疾患の特徴
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第8回講演会・ポスター発表

開催日 平成30年3月4日(日)
開催場所高松市歯科救急医療センター
参加人数60名

Ⅰ.講演会について

講師江草 正彦 先生
演題名歯科治療が苦手な発達障害児者への対応
講演の内容

歯科治療が苦手な発達障害児者の歯科診療では、彼らの特徴を理解した上で対応することが必要である。本講演では、社会性の発達障害がある自閉症スペクトラム障害について詳しく説明することにした。
自閉症スペクトラム障害には、以下に記す6つの特徴がある。その特徴を理解して、対策を立てることが必要不可欠である。
①言葉を聞いて理解するのが苦手である
 彼らは、情報のフィルター作用がうまく働かないため情報の処理に混乱をきたす。聴覚からの情報の処理は苦手である。一方で、視覚からの情報は上手く処理することができる人が多い。従って、その強みを生かして、絵カードなどを用いた視覚支援媒体を利用してコミュニケーションを図ると良い。
②イメージを持つことができない
 彼らは、これから起きることや目に見えないことを想像することが苦手である。何をされるか、あるいはされているか分からないことで不安になる。そこで、治療の内容をあらかじめ絵カードで提示して理解してもらってから治療を行ったり、手鏡で治療を行っている様子を見せたりすることにより、不安を取り除くことができる。
③治療の意味や目的を理解できない
 歯科治療の目的や必要性を理解させることが難しい方もいる。その場合は、歯科治療が終わった後に何かご褒美が待っているという、彼らにとって嬉しいゴールを設定する。その結果、彼らのモチベーションが上がり歯科治療に前向きになってくれる。
④見通しを立てることができない
 「もうちょっと」や「あと少し」などの曖昧な表現は理解することが難しい。タイマーをセットしたり、数を数えたりすることで、具体的な見通しを立てることができるようになる。
⑤感覚過敏や鈍麻がある
 視覚過敏、聴覚過敏、触覚過敏を持つ方が多い。光の眩しさに対してはサングラスを使用し、タービンの音が苦手な人には5倍速のコントラを使うと良い。触覚過敏に対しては、過敏を取り除くために脱感作法が有効である。
⑥嫌な経験を覚えている
 一度嫌な経験をすると、そのことをいつまでも覚えている。時には、かなり昔のことでも突然思い出したりする(フラッシュバック現象)。そのような場合は、思い切って歯科医院を変えてみたり、担当医を変えてみたりするのも1つの方法である。
⑦落ち着きのなさや衝動性、気の散りやすさがある
診療室を構造化(刺激の整理)する。落ち着けるエリアを作る。

Ⅱ.ポスター発表(8題)

P-1 p-HPPHを分子標的とした新規口腔粘膜創傷治癒促進薬の開発
-p-HPPHによる細胞遊走の促進作用について-
P-2 続発した自己抜歯を保護シーネの装着により阻止することができた
自閉症患者の1例
P-3 口腔内管理を行っている慢性皮膚粘膜カンジダ症の1例
P-4 病院歯科における障害者歯科及び摂食嚥下リハビリテーションの必要性
P-5 Lesch-Nyhan症候群の1症例―マウスガードの一工夫―
P-6 当県における在宅歯科医療の取組状況
―介護支援専門員へのアンケートからー
P-7 顎変形症術後に嚥下機能低下を呈した筋ジストロフィー患者の一例
P-8 セファロ専用手指固定用エックス線撮影補助具の開発と臨床応用の検討
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第7回講演会・ポスター発表

開催日 平成29年3月5日(日)
開催場所徳島大学歯学部大講義室
参加人数53名

Ⅰ.講演会について

講師 森崎 市治郎 先生
演題名これからの障害者歯科における歯科診療と生活支援について
講演の内容

 障害者は、口腔管理がされている良好な口腔環境をもつ者と管理がされていない劣悪な口腔環境をもつ者の二極化している。また、障害者は健常者と比較して、加齢変化が早期に起きるため、今後は高齢障害者に対する対応も重要になる。
 脳性麻痺の患者さんへの対応では、姿勢保持が楽な姿勢で、緊張や過開口に注意しながら、時々休憩を入れながら行うと良い。緊張が著しい場合は薬物行動法を考慮する。
 知的障害の患者さんへの対応は、心理的アプローチ、物理的アプローチ、薬理的アプローチから緊急性の有無や家族の希望、その診療施設での設備などを考慮し選択する。心理的アプローチでは、行動変容法を用いて歯科治療恐怖への対処を行う。
 自閉症の患者さんへの対応は、TEACCHアプローチでの構造化支援による方法が有効である。全身麻酔下での歯科治療も、行動調整の手段として有効に活用すべきである。
 障害者歯科の目標は、障害のある人、保護者、歯科医療従事者、社会資源(人的、保険料、資金)、それぞれの歯科治療に伴う負荷を最少にすることである。それには、Minimum Interventionによる予防的管理が大切であり、支援と処置介入よりも、支援と成育保護に重点を置くべきである。

Ⅱ.ポスター発表(7題)

P-1 地域歯科診療所である当院の受診患者の実態調査
P-2 重度心身障害者病棟患者への訪問口腔ケア実施の現状と職員の意識の変化
P-3 中咽頭癌術後に両側舌下神経麻痺を伴った摂食嚥下障害の1例
P-4 開設2年間の当院の障がい者歯科における実態調査
P-5 当県在宅歯科連携室の過去5年間の稼働状況と問題点
P-6 高知県における障害児・者受け入れ可能医院の増加に対する取り組み
P-7 当センター歯科における麻酔管理下歯科治療
-5年間の臨床的検討からみた歯科衛生士業務の考察-
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第6回講演会・ポスター発表

開催日 平成28年3月13日(日)
開催場所高松市歯科救急医療センター(大ホール)
参加人数51名

Ⅰ.講演会について

講師 望月 亮 先生
演題名適切な障がい者支援のために
~地域包括ケアシステムに果たす歯科の役割~
講演の内容

 「住み慣れた地で その人らしく」-地域包括ケアの理想は毎日のように語られています。歯科はその中でどのような役割を果たしうるでしょうか。
 地域包括ケアシステムを構成する多職種協働は、有資格者からなる専門職種だけでなく、身近な社会資源が協働して患者を支えた上で、各々の専門職種が互いに有機的に連携を果たすことにより実現します。訪問歯科診療や専門的口腔ケアなどは歯科の役割としてもちろん重要です。しかしそればかりでなく、歯科に求められる本当の役割は「地域の有識者」としてチームで関わる一員にしっかりと位置づけられることで果たされるのです。
 日本障害者歯科学会では、私たちの所属する医療福祉連携委員会が多職種協働の啓発を視野に入れた活動をさまざまな形で展開しているところです。本委員会が中心となり、この問題を広く議論する場が拡がりつつあるのはうれしいことです。本日の私たちのお話で、歯科にはチーム医療で果たすべきこんな役割があったんだ、と気づいていただければこれにまさる幸せはありません。
 ひとは支えられて生きています。私たち歯科医療者の目の前に座る、障がいを持ちながら歯科治療を求める患者さんたちは、どのような支援を受けて毎日を過ごしているのでしょうか?医療者として、歯科のなすべきことはどこにあるのでしょうか?歯科医療と福祉が手を携えて支援に臨むと、どのような成果が得られるのでしょうか?今回のお話ではさまざまな事例をご紹介しつつ、医療と介護福祉のほんとうの連携とはどのようなものか、を皆さんと一緒に考えていく時間を過ごせればと願っております。

Ⅱ.ポスター発表(4題)

P-1 CHARGE症候群の1例
P-2 障がい者における各種保湿剤の保湿度と細菌数の検討
P-3 当センター17年間の患者状況の変化
P-4 臨床実習前・後の歯科衛生士学生の障碍者に対する意識調査
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